「ねじのゆるみ」にロックタイト嫌気性接着剤が有効な理由として、ロックワッシャーやナットなどの機械的ゆるみ止めと違い「液状」であることがあげられます。ロックタイトねじゆるみ止め用接着剤(ネジロック)は、ねじ山接触部を接着し、隙間を充填・硬化します。振動によるズレを抑制し、高いゆるみ防止効果を発揮、またねじ表面の腐食も防止します。一方、ロックワッシャーやナットなどの機械的ゆるみ止めは、おねじとめねじの間には隙間があります。振動や衝撃でねじ接触面に小さなズレが生じてゆるみを引き起こしたり、また使用環境によってはねじ表面が腐食します。
振動試験機で接着剤と機械締結を比較
- ねじのゆるみの原因とは?
現在のねじのゆるみの主な原因は、「過度な振動」と被締結材やボルト・ナットの「熱膨張と収縮」によるものと言われています。これらが締結部品の固定不良やねじのゆるみを発生させるのです。
- 接着剤以外の一般的なねじのゆるみ防止策とは?
締め付けトルクの設定やバラつきの管理、またスプリングワッシャーや歯付座金で座面の摩擦係数を上げたり、割りピンナットやナイロンナット、ダブルナットなどでナットの回転を抑制するなど、様々な視点から対策が取られています。但し、ねじのその構造的な問題として、締結後のおねじとめねじの間に「隙間」が存在し、ねじ山部のたった15%程度の金属接触で締結力を維持しています。そのため、適正なトルクで締め付けても、振動・衝撃や、熱膨張や収縮による隙間の変位でこの締結力を超える外力が加わると、ねじ山間にズレが生じゆるみが発生してしまいます。
- 終わりに
たかが“ねじ”と思われるかも知れませんが、ねじのゆるみはしばしば大きなトラブル・損失の原因となることがあります。例えばモーターにねじのゆるみが発生すると、莫大な補償費用が発生します。カップリングメーカー様で顧客の装置に不具合が発生したり、作業が中断すれば信用問題や賠償問題が発生します。製造ラインに納入したロボットで油圧装置から液漏れが発生すれば早急な対応が要求され、スクリーン印刷機に不具合が発生すれば苦情が殺到してしまいます。これらは過去実際に発生したトラブル事例なのです。
また機械の保全という観点からも、ねじのゆるみ発生は安全面で非常に危険なだけでなく利益損失の原因となります。過去、タイヤメーカーではねじのゆるみより機械が破損し、長期に渡るラインストップを余儀なくされました。鉱山で稼働する粉砕機などでねじのゆるみが発生すると時として人命にかかわるトラブルとなり、工場ラインでの水やオイル、エアなどの“漏れ”は、無視できないコストの損失を生み出します。また、ソーラーパネルなど大量のねじを使用している屋外構造物でゆるみが発生すると、その補修対応には莫大な時間とコストが必要になってしまいます。
ロックタイトは常にお客様に「価値」を提供することをお約束してきました。屋外で過酷な状況で稼働する削岩機などの重機、橋梁などの構造物から、モーターやロボットなどの産業機器まで、ねじを使用しているあらゆる機械や部品に「安全・安心」という価値を提供し、またメンテナンスの現場においても様々なソリューションを提供し続けています。
ねじのゆるみの原因と対策
本内容は動画でも解説しています。合わせてご参照ください。