瞬間接着剤は、工業用途でも広く使用されており、LOCTITE(ロックタイト)も工業用途向けに幅広いラインナップを展開しています。瞬間接着剤の原理、特徴、ポリプロピレンのような難接着基材への正しい表面処理、例えば、硬化促進剤(アクチベーター/アクセラレーター)や難接着材料用表面改質剤(プライマー)の使い方などを知ることで製造工程で使用できる箇所や最適化が可能になります。
瞬間接着剤とは?
瞬間接着剤は、シアノアクリレートモノマー、安定剤、希釈剤、添加剤からなる接着剤です。ベースとなる樹脂はシアノアクリレートですが、シアノアクリレートの構造を変化させたり、添加剤の種類を変えることで様々な特徴を持つ接着剤が生み出されています。
瞬間接着剤が硬化する原理(硬化機構)は、次の通りです。接着剤を容器から出し塗布すると容器内で作用していた酸性の安定剤が、空気中や塗布面の水分により中和されます。安定剤が中和され系中がアルカリ性になると、モノマーの反応が開始、連鎖しこれが連続して発生する事で硬化します。
瞬間接着剤の特徴は、名前にもあるように非常に速い硬化速度です。但し、硬化速度は、湿度、接着ギャップ、基材等に影響を受けます。詳細は、下記の動画をご参照ください。
瞬間接着剤の利点
- 室温硬化
- 数秒で固着
- 多くの基材に優れた接着性を示す
-1液型/塗布機を用いて自動化可能
瞬間接着剤の欠点
- ガラスでは長期的な耐性が低い
- 剛性、耐衝撃性と剥離強度が低い
- 高ギャップ間の硬化に制限あり
- 臭気/白化
- 皮膚への付着
-プラスチックの種類により、ソルベントクラックが生じる場合がある
- 耐溶剤性が低い(無極性溶剤 - ほぼ影響なし/極性溶剤 - 徐々に強度が低下)
難接着材料用プライマー LOCTITE SF 770を用いた表面処理
一般的に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン樹脂、TPEと呼ばれる熱可塑性エラストマーやシリコーンゴム、PTFEなどは接着剤で接着するのが難しい樹脂と言われています。しかし、難接着材料用プライマー ロックタイト SF 770を瞬間接着剤と併用する事で、これら難接着材料も接着することが可能です。
難接着材料用プライマーのロックタイト SF 770の作用機構やプライマー使用による強度変化などの詳細は、下記の動画をご参照ください。
ロックタイト硬化促進剤を用いた表面処理
ロックタイト硬化促進剤(アクチベーター/アクセラレーター)は接着剤の硬化速度を速める効果があり、事前に塗布する事で硬化速度を上昇させることが出来ます。しかし、基材によっては強度が低下する可能性があるので注意が必要です。また、接着剤を塗布した後、はみだし部などに使用する事で、はみだし箇所の硬化促進にも使用できます。ロックタイト硬化促進剤の作用機構の詳細は、下記の動画をご参照ください。